日本語の由来 家族編 ②

家族以外の人に自分の家族のことを伝える時、夫が「うちの女房」と言ったり、妻が「うちの亭主」などと言っているのを聞いた事がありますよね。

「亭主」は夫のことです。「亭」という言葉は「宿」や「屋」と同様に建物を、「主」は主人のことを意味しています。そこから「亭主」はその建物の主人を指すようになり、一家の主人のことも意味するようになりました。

これは茶道で茶室のことを「亭」といい、そこでお茶をたてて客をもてなす人を「亭主」と呼んだことが始まりだと考えられています。さらに江戸時代中期から「夫」の意味として「亭主」が使われるようになったと言われています。

「女房」とは妻のことですね。「房」とは「部屋」のことで、「女房」は「女官の部屋」を意味します。もとは平安時代に宮廷に仕えていた女官で、私室を与えられた身分の高い女性を指す言葉でしたが、やがて単に「女性」の意味でも使われるようになります。それが中世の終わり頃から近世にかけて「妻」の意味として定着していきます。

ここで気をつけたいのは、「亭主」も「女房」も、あくまで自分の家族以外の第三者に、自分の夫や妻のことを伝える時にだけ使われることです。うっかり他人の夫や妻のことを指して「君の女房は」「あなたの亭主は」などと言うと失礼になるので注意が必要ですね。