同じ「反対」でも形はいろいろ

今日、博は同僚のカレンと一緒に取引先の会社でのプレゼンテーションに向かいました。ところが取引先に着いたとき、プレゼンで使う資料をオフィスに置き忘れてきたことに気づきました。

カレンは、I’ll get the papers!(私が取ってくるわ)

と言って、走って取りに戻ろうとしました。ところがその方向がオフィスとは正反対の方向だったのです。実はカレンは方向音痴だったのです。

博は「反対方向だよ!」とカレンに伝えようとしましたが、この言葉を英語にする場合、「反対の」という言葉には次のどれを使うといいでしょうか?

① opposite     ② contrary    ③ reverse

日本語と英語では、一見同じ意味の語にみえても、実は「言葉の持つ範囲」が違っていることがよくあります。

日本語の「反対の」という語は、方向、位置、順序、性質など様々な事柄に関して使える言葉ですが、英語では次のように使い分けが必要になります。

oppositeは方向、位置、ある物の性質や傾向が「正反対」であることを示すときに用います。contraryは基本的に意見や立場、性質などが「正反対」であるという意味です。またreverseは位置や動作の方向、また特に順序・面の裏表などが「逆」であるという関係を示すときに用いられます。

したがって博の言葉は「反対方向だよ!」という意味なので、 oppositeを用いて下のように言うのが正しい言い方になります。

It’s in the opposite direction

「反対方向だよ」と言いたいとき、より会話らしい表現として、the other(もうひとつの方の)を使ったり、あるいは「間違った」「好ましくない」などの意味を含む文脈の場合には、the wrongを用いるとニュアンスがうまく伝わることもあります。

この場合の博の言葉もThat’s the wrong way!とすると、よりネイティブらしくなります。