最近、10代~20代の若者がよく使う言葉に『ヤバイ』があります。これはもともと ”危険な状況や場所、法に触れるような悪いこと”を表す言葉、つまり悪い意味で使われていましたが、現代では ”素晴らしい、すごい、おいしい、素敵 ”などの良い意味でも使われるようになっています。
10代~20代の若者に限れば7割以上がヤバイを良い意味で使っているそうで、現代の若者言葉として定着しています。ヤバイが広く一般的に良い意味でも使われるようになってきたのは平成中期頃だと思われます。
では、ヤバイという言葉はいつ頃から使われていたのでしょうか。この言葉が生まれたのは江戸時代で、語源にはいくつか説があります。
一つは江戸時代の「矢場(やば)」を語源とする説です。矢場とは射的場のことで、弓矢を的に放って当たれば景品が貰え、当時の庶民の娯楽として人気がありました。そのうち一部の矢場が自分の店にお客を呼び込むために過激なサービスを提供するようになります。
そのため江戸時代の矢場は一部で犯罪者のたまり場ともなっており、矢場に出入りしていると役人に目を付けられ、逮捕される可能性がありました。そこから犯罪者にとって、危険な場所という意味で「ヤバイ」が使われるようになったそうです。
もう一つは、これも犯罪者と関係がありますが、江戸時代、牢屋で受刑者を管理する看守は「厄場(やば)」と呼ばれ、犯罪者にとって厄場(やば)は関わり合いたくない存在でした。そのため逮捕されて牢屋にぶち込まれ、厄場(やば)の世話になりそうな悪い状況のことを「ヤバイ」と呼ぶようになったと言われています。
江戸時代に生まれた「ヤバイ」という言葉は、もともとは犯罪者などの間で「危険な場所」「悪い状況」を表す隠語として用いられていたようですが、時代が変われば意味が変化していくのは面白いですね。