女性専用車両の登場は明治時代!?

近年、大都市圏の鉄道路線では、朝の通勤・通学のラッシュ時に「女性専用車両」が走っているのをよく見ます。男性は原則乗れない車両ですね。

こうした女性専用車両は近年、列車内での女性への痴漢・迷惑行為が社会問題化し、犯罪として意識されるようになったことにより、女性が安心・安全に乗車できることを目的に導入されました。

痴漢防止を目的とした女性専用車両が導入され始めたのは、2000年代以降からです。2001年に関東の京王電鉄が試験導入し、翌年から本格的な運用が始まりました。関西でも2002年に京阪電鉄や阪急電鉄でも導入され、2005年には関東の主要鉄道会社にも相次いで導入されました。

そして現在では大都市圏の多くの鉄道路線で女性専用車両が運行されていますが、こうした経緯を見ると女性専用車両が登場したのは、つい最近の出来事のように思いますよね。

でも実は、日本で最初に女性専用車両が登場したのは今から100年以上前の明治時代末期になります。1912年(明治45年)東京の国鉄中央線で導入された「婦人専用列車」が最初とされます。

導入のきっかけは、当時の中央線沿線には女学校が多く、女学生が電車の中で痴漢行為に遭うという話を聞いた、当時の学習院院長の乃木希典が鉄道会社に働きかけて実現したという逸話が残っています。

この婦人専用列車は朝と午後の登下校時に数回運行され、女学生は登下校時にこの列車を利用するよう、中央線沿線にある女学校に通達が出されたそうです。

ちなみに戦後の経済復興期には、朝の殺人的通勤ラッシュから働く女性と子供を守るため、東京の国鉄中央線で1947年(昭和22年)朝の通勤ラッシュ時に「婦人子供専用車」が登場しましたが、利用率は高くはなく、1973年(昭和48年)シルバーシート(優先席)の導入により廃止されています。

それにしても、女性専用車両が導入されたきっかけが、現代も明治の昔も痴漢防止対策だったとは、なんとも情けない話ですね。